ゴルフの長寿効果

１．緒言

　昨年４月の2018年度ＨＳＧ総会の折に、スエーデンのカロリンスカ研究所が発表したゴ ルフの長寿命効果について簡単に紹介した。すなわち、スエーデンにいる約30万人のゴル ファーを調査した結果、ゴルフをしている人は、ゴルフを殆どしていない人に比べて、約５年平均寿命が長かったことを紹介した。
　そこで､私たち日本人､特にＨＳＧ会員の場合について､調査する方法はないか検討した。日立製作所に限定すれば、日立社友クラブの会員とＨＳＧ会員は殆ど同じ範躊にある。幸い日立社友クラブが発行する「社友だより」に会員の訃報と没年令の記載があるので、その中からＨＳＧ会員の没年令も判ることに気付いた。この資料を利用すれば、ゴルフの長寿命効果が得られるのではないかと考え、計算してみた。

２．社友クラブ会員の平均寿命

　私の手許にある「社友だより」は、
　　　第136号（2016年６月１日発行）　〜　第142号（2019年６月１目発行）
の７冊で、2015年10月から2019年３月までの約３年６か月分のデータ（訃報）である。
　「社友だより」の各号に掲載された物故者（全員男性である）の人数とその没年令の合計は第１表の通りである。

第１表　社友クラブ会員の没年令

社友だより号数	物故者数（名）	没年令の合計	ＨＳＧ会員数（名）
第136号 第137号 第138号 第139号 第140号 第141号 第142号	74 88 75 88 58 101  77	6,153 7,174 6,196 7,454 4,807 8,243 6,331	６ ２ ３ ６ ３ ２ ４
合　計	561	46,358	26

平均没年令　＝　46,358÷561　＝　82.63才

　第１表より、約３年半の間に物故された人数は、561人で、その平均没年令は、82.63才である。この平均没年令は物故された時の満年令の平均であるから、平均寿命とは異なる。
　平均寿命は１年未満の生存日数も加えて計算する必要がある。この生存日数(追加寿命)は、統計的に考えれば人数が561人と多いので、0.5年と推定することができる。故に平均 没年令82.63才の場合の平均寿命は、83.13才と推定できる。
　日本人男性の平均寿命は、80.75才（2015年統計、2017年３月発表値）であるから、社 友クラブ会員は、日本人男性の平均より2.4年ほど長寿命であることが判る。

３．日立シニアゴルフ会々員の平均寿命

　前章で述べた社友クラブ会員561名の中から、ＨＳＧ会員であったことが確認できた人の氏名と没年令および１年未満の生存月数（追加寿命）を、第２表に示す。なお、ＨＳＧ会員と確認した根拠も表に示した。

　第２表　ＨＳＧ会員の没年令と平均寿命

社友だより	氏名（記号化）	没年令	追加寿命（月）	ＨＳＧ会員の根拠
第136号	A1 A2 A3 A4 A5 A6	81 81 74 85 89 91	6 12 12   6 11  4	平成21年名簿 同上 平成23年名簿 平成21年名簿 30周年記念誌 同上
第137号	B1 B2	97 82	5 11	30周年記念誌 平成21年名簿
第138号	C1 C2 C3	90 86 74	9  2  3	30周年記念誌 平成21年名簿 平成23年名簿
第139号	D1 D2 D3 D4 D5 D6	99 91 89 91 79 92	4 10  5  9 12  0	30周年記念誌 同上 同上 平成21年名簿 同上 同上
第140号	E1 E2 E3	90 98 88	9  8  1	平成21年名簿 同上 同上
第141号	F1 F2	91 82	6 10	同上 同上
第142号	G1 G2 G3 G4	85 82 72 83	5 10  5  2	同上 同上 平成23年名簿 平成21年名簿
合　計	(26名)	2,242	177	一

ＨＳＧ会員の平均没年令　＝　2,242÷26　＝　86.23　才
追加寿命　＝　177÷26　＝　6.8月　＝　0.57　才
ＨＳＧ会員の平均寿命　　＝　86.23　＋　0.57　＝　86.80　才

　ＨＳＧ会員26名の没年令の平均は、86.23才である。社友クラブ会員の没年令、82.63才と比較すると、3.60才寿命が長いことが判明した。
　また、平均寿命で比較すると、社友クラブ会員の83.13才に対し、ＨＳＧ会員は86.80才であり、3.67才長寿命であることが判明した。前記の3.60才と3.67才の差はＨＳＧ会員 が26名と少ないので、追加寿命をより詳細に計算したためである。よって、ＨＳＧ会員の長寿命効果は約3.7年、またはほぼ４年と言える。

４．考察

• (1) HSG会員は日立社友クラブ会員より約４年も長寿命であることは、私の予想以上の数値である。なぜならば、第１表の社友クラブ会員の中には、ＨＳＧ会員も含まれているし、ＨＳＧ会員ではないゴルフ好きの知人も多数いるので、83.13才という平均寿命はすでにゴルフの長寿命効果がかなり入っているからである。
• (2) HSG会員の平均寿命は、86.8才である。これは日本人の平均寿命80.75才と比較 すると、約６年長い。これはすべてゴルフの効果であるとは言えないと思う。なぜならば、若年の死亡者や定年後に病気がちな人は､最初からＨＳＧの会員には含まれないからである。
• (3) HSGが実施しているゴルフに関するイベントが長寿命化に効果的であることは間違いないと思う。また茨城県北部の気候やゴルフの環境も寄与しているかも知れない。いずれにしても、ＨＳＧの会員は、平均的に言えば、４年ないし６年程度長生きすることは間違いないと思う。

５．結論

　日立製作所の社友クラブ会員の平均寿命と、その会員に含まれている日立シニアゴルフ会（ＨＳＧ）の会員の平均寿命を計算した結果、ＨＳＧ会員は社友クラブ会員より約４年（詳細には3.67年）寿命の長いことが確認できた。また、ＨＳＧの会員の平均寿命は日本人男性の平均寿命より約６年長いことも判明した。